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見えない確率と選択

ダブルバトルでこういうシーンがあったとする。天候は、あられ。

あいて f:id:poketab:20150711233843p:plain f:id:poketab:20150711233842p:plain
じぶん f:id:poketab:20141120150508p:plain

ラティオスは「りゅうせいぐん」で拘った状態のメガネ持ちで、Cが6段階下がっている。残りHP9割
ユキノオーは「ふぶき」のみ技が判明しており残りの技も持ち物も分からない。残りHP7割
ウルガモスは控えめCSのスカーフ持ちで、これから技を選択する。残りHP10割

言うまでもなく、「むしのさざめき」を2発当てるだけで勝負は決まる。問題はどちらから攻撃するか。


ラティオスから攻撃した場合は、そのターンユキノオーの技を一度だけ通すことになる。これはわかりやすく、その一度の攻撃を何事も無く耐えることさえできれば次のターンもう一度「むしのさざめき」を撃ってゲームセットだ。
ユキノオーから攻撃した場合だが、ユキノオーは「まもる」を持っているかもしれないので、「むしのさざめき」を守られた場合は2回、連続で「まもる」が決まればそれ+αの回数ラティオスから「りゅうせいぐん」を受ける。守られなければ1回で済む。

ざっと思い浮かぶそれぞれの負け筋を比較するとこんな感じになる。
ノオーの攻撃を通す場合
・「ふぶき」でウルガモスが氷漬けになり、溶ける前に殴り倒される。
・「いわなだれ」でウルガモスが倒される。ないしは削られて「あられ+こおりのつぶて」で倒される。
・「ぜったいれいど」でウルガモスが少年の日の思い出になる。

ラティオスの攻撃を通す場合
・「りゅうせいぐん」がウルガモスの急所に当たる。試行回数はノオーが守った回数+1。
ユキノオーが2,3連続くらいで「まもる」を決めている間にウルガモスが倒される。

この中で「ユキノオーから攻撃したらユキノオーが守らなかった」パターンだけはほぼ正確に負ける確率がわかる。一度だけもらう「りゅうせいぐん」が急所に当たるか次第なので、15/16で勝ち、1/16(6.25%)で負けだ(急所率が間違っていなければ)。
(一応ユキノオーが「せんせいのツメ」や「ひかりのこな」を持っている可能性もあるのでぴったりこの数字ではないが、それについては後で書く。)


残りのパターンは少しややこしく、ひとつひとつ書くのはやめにするが、負ける確率を平たく言うなら
『相手がその行動を取る確率』×『その行動を取った時に負ける確率』
で求められることになる。
上の問題の場合、ユキノオーが「いわなだれ」や「ぜったいれいど」を持っているのならば、使ってくる場面と言っていいだろう。つまりいわなだれを例にするならば
『いわなだれを持っている確率』×『いわなだれを撃たれた時に負ける確率』
といったところだ。

当然、ここで言う「いわなだれを持っている確率」は、PGLで見られる「ユキノオーのいわなだれ所持率」とは違う。「今、対戦しているその相手のユキノオーが、いわなだれを持っている確率」だ。


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対戦中、あるいは構築段階で相手の選択肢が複数あることは日常茶飯事だが、例えば取れる選択肢が2つあったとしてその確率は50%と50%ではない。70-30と見ることがあれば99-1と見ることもある。大事なのは、どの場合にしても、「その選択肢を取った時にどうなるかという確率は計算で正確にわかるが、その選択肢を取る確率自体はプレイヤー個人が設定しないといけない」という点。

最近、この「『見えない確率』を正確な数字に置き換える力」「センス」と呼ぶことにしている。勝手に。確率に偏りをつける能力と言っても良い。単語の意味として正しいのかどうかは知らないが、簡潔で便利なので、僕はそういう定義で使うことにした。

先の問題だけでも、センスを必要とする部分が複数あった。
・相手のユキノオーが「まもる」を持っていたとして、それを使う確率。
・相手のユキノオーが「いわなだれ」「こおりのつぶて」「ぜったいれいど」を持っている確率。
・相手のユキノオーが「せんせいのツメ」「ひかりのこな」等を持っている確率。
ややこしくなるので上の方には書かなかったがラティオスが耐久に厚く振っていて「むしのさざめき」を耐える確率なんてのもある。


さて、これらの確率が具体的な数字になれば、最初の問題は解くことができる。対戦相手のこれまでの行動やPTの他のポケモン、対戦相手のレート、ここまでの行動から見える癖など…その場に立ってみないと感じる確率に変動はあるだろうが、とりあえずその時自分のセンスで確率を出した、そういう前提で解いてみる。
・ノオーが守れる…80% 守れない(スカーフ・守る切り)…20%
・守れる時、守るを選択する…40% 守る以外を選択する…60%
・守れるノオーが守らない時、ふぶき…95% ぜったいれいど…3% いわなだれ…1% その他…1%
・スカーフの時、ぜったいれいど…55% ふぶき…44% その他…1%
・ツメや粉、きあいのハチマキを持っている…2%
・ラティが耐久にめっちゃ厚くてさざめき+あられで落ちない…1%

各パターンの発生率×負け率
ノオーの攻撃を通す場合
・「ふぶき」でウルガモスが氷漬けになり、溶ける前に殴り倒される。…4.77%
・「いわなだれ」でウルガモスが倒される。ないしは削られて「あられ+こおりのつぶて」で倒される。…0.72%
・「ぜったいれいど」でウルガモスが少年の日の思い出になる。…3.3%
・ラティがさざめき+あられを耐えて押し切られる…0.456%

ラティオスの攻撃を通す場合
・ノオーが守らず「りゅうせいぐん」がウルガモスの急所に当たる。…3.825%
・ノオーが守って「りゅうせいぐん」がウルガモスの急所に当たる。…2.34%
・2連守るが決まって急所、あるいは普通に落ちる…5.19%
・3連守る以上が決まった場合…3.345%

上記以外のパターン…確率が低すぎるので無視

合算すると
ノオーの攻撃を通す場合…9.25%
ラティオスの攻撃を通す場合…14.7%
というわけで、この人のセンスが正確ならば「ノオーの攻撃を通す方が負ける確率が低い」、つまり
ラティオスf:id:poketab:20150711233842p:plainから攻撃するのが正解」になる。
(計算が間違ってたらごめんなさい)


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瞬間の判断にはブレがある

長々と面倒くさいことを書きましたが、実際の対戦では、行動選択に時間制限があり、この計算を時間内に行うのは難しいでしょう。なので、「なんとなく勝てそうな方を選ぶ」ことになると思います。この問題についても、パッと見で「ラティからでしょ~」と思って、今「やっぱりな」となった人はわりといるんじゃないでしょうか。さっきは「見えない確率」×「計算でわかる確率」の前半部分を指して「センス」と呼んだけど、計算時間が十分にない場合はこれをひっくるめて「センス」と呼ぶべきという感じですかね。一応念を押しますけどさっきの解答は架空のセンスを設定して解いた結果です。

実は、上で取り上げた問題は本当にあったシチュエーションです。問題らしくするため多少脚色を加えましたが、だいたいこんな感じの場面です。この時僕はユキノオーむしのさざめきを打ちました。結果ユキノオーが守らず流星群も急所に当たらなかったので勝ちはしたものの、今思うとセンスのない選択でした。多分。

ずいぶんと前の話なのでなぜユキノオーから攻撃したのか正確には覚えていないのですが、おそらく「いわなだれ」や「ぜったいれいど」の選択肢が頭によぎって、それに引っ張られてしまったんじゃないかと考えています。この「瞬間的な恐怖」っていうのは結構すごくて、本当は「ぜったいれいど」を持っている確率→それを撃たれて、なおかつ命中する確率までをしっかり考慮しないといけないのに、一度頭に思い浮かぶとまるで「撃たれる前提」くらいの感覚が襲ってくるんですよね。大事な試合ならプレッシャーによるところも大きいでしょう。

普段から冷静に確率計算する癖をつけている人からすると分かりづらいかもしれませんが、多分、僕以外にもそういう傾向の人はいるんじゃないかと思いますし、この当たり前っぽいことをわざわざ長ったらしい記事に起こしてみた理由でもあります。
例として挙げたシチュエーションは有利な場面のものでしたが、五分の状況~劣勢になるほど、見えない確率を正確に捉える能力がなければ勝ち筋を通すことはできませんし、そういう時瞬間的な判断のブレが大きい(リスクを過剰に気にする・リターンしか見えなくなる)プレイヤーはやっぱり勝ち切れないのかなあと、最近は考えるようになりました。当たり前ですね。
僕はかなりビビるタイプというか、まずそうな選択肢を引かないことに固執してしまう人間なので、この瞬間的な恐怖から来る判断のブレの克服を今後の課題にしていきたいなと思っています。


ところで、衝動的な感覚で判断がブレる現象は、今挙げた受動的なパターン以外にもありますよね。明らかに「まもる」を使ってきそうな場面で、その択の確率計算を大きく見積もりすぎるアレです。
前提として「センスの良し悪し(「見えない確率」の捉え方)」があって、瞬間の判断でそれが上下にブレるイメージなので、人によってセンスが違う以上ブレ幅を大きいと感じるかどうかも人それぞれなんですけど、その人から見てブレの大きすぎるプレイングをされた時、「あっヤンキープレイだ!」となるのかと思います。

これ、僕は「逆ヤンキープレイ」を頻発する人間ってことになるんですけど、なんかわかりやすいワードないんですかね。

f:id:poketab:20150323133942p:plainおわり